作:ミニスカゴルゴ1(埴輪遥二&火鳥冬星)
目次(全20頁)
プロローグ 洋二の手紙
第1部 T 香取冬子/U オーウェン/V 伊藤麗奈/W 洋二の小説
第2部 T 塙洋二/U 洋二meets冬子/V 呼び出し/W 原稿価格/X 疑念
第3部 T ダイヴ/U 道/V 冬子の旅行/W 問題/X 洋二meets美和子/Y プレッシャー
第4部 T トラップ/U 冬子の手紙/V プレゼント
エピローグ クリスマス・イヴ
プロローグ 洋二の手紙
拝啓 香取冬子様
初めてお手紙を差し上げます。
僕は豊島工科大学三年の学生で、塙洋二といいます。冬子さんの作品は、デビュ
ー作の「皿色研究家イヴ」から、欠かさず拝読してきました。去年出された短編集
「化け猫女のなぜ声」も読みました。「水槽の星」と「無人駅」が好きです。亡く
なったボーイフレンドのため、はいていた下着を棺に入れるところが、可笑しくて、
でも、切なくて、とても良かったです。
ところで、勝手ながら、冬子さんにお願いがあります。僕の小説を読んでいただ
きたいのです。あつかましいお願いかも知れませんが、どうぞよろしくお願い致し
ます。
僕は工業系の大学に通いながら、小説を書いています。ちょっと前までは、技術
者と小説家の両立を目指していました。でも、自分はそんなに器用な人間ではない
と、最近になって気がつきました。僕の家は経済的に苦しくて、僕は今、奨学金を
受け取って、大学の寮に住んでいます。しっかり勉強して、就職しなければいけな
いと思いながら、小説を書きたいという気持ちが先に立ちます。
僕が小説を書くようになったきっかけは、「皿色研究家イヴ」を読んでからです。
小説や文学について、難しいことはわかりません。でも、「イヴ」を読んで、自分
はこのままではいけない、何かやらなければいけないと思いました。
小説を書き始めた頃は、書いているだけで楽しかったです。誰かに読ませたこと
はないです。でも、ただ書いているだけで、夢中になれたような気がします。「海
に戻る涙」に書かれている「名前のない作家」のように、人の心を揺さぶり、陶酔
させ、解放させるような、そんな作品を書きたいと思ってきました。
でも、最近はあまりうまく書けなくて、悩んでいます。自分の作品は、人に読ん
でもらえる価値があるのだろうか。そう考えると、自信がないです。
そこで、冬子さんの率直な感想を聞かせていただけると、助かります。冬子さん
になら、何を言われても構いません。とにかく僕は、今の中途半端な状態から、抜
け出したいのです。
勝手なことを申し上げてすいません。どうかよろしくお願い致します。
平成十六年九月七日
敬具
塙 洋二
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Text written by 埴輪遥二&火鳥冬星
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